やがて、藍になる

やがて、藍になる

東京漫画社 2011.12.20 (MARBLE COMICS) ISBN978-4-86442-029-7
imageBL度低

幼い頃、理由あって「兄弟」として暮らすこととなった大青と紺太。しかし大人になるにつれ、弟・紺太へ兄弟以上の愛情を自覚した大青は、想いに耐えきれず家を出てしまう。ところが数年後、突然実家に戻ってきた大青は、紺太に「家業を教えてくれ」と頼み込み、再び2人の同居生活を始めるのだが…。
兄の気持ちを知りつつも、見て見ぬフリをする弟。
弟に自分の気持ちを認めさせたい兄。
藍染めの工房を舞台に、義兄弟の想いが巡る、えすとえむ期待の和テイストBL!!


■初出誌:「Cab」
やがて、藍になる 第一話(24p)…vol.9 2010.8.25
やがて、藍になる 第二話(26p)…vol.10 2010.10.19
やがて、藍になる 第三話(30p)…vol.11 2010.10.19<br />
やがて、藍になる 第四話(24p)…vol.12 2010.2.24
やがて、藍になる 最終話(26p)…vol.13 2011.4.25
大青(9p)…描き下ろし
泳ぐ、溺れる、泳ぐ(26p)…vol.4 2009.10.20
しんしんと雪の降る(8p)…vol.6 2010.2.20
あとがき

やがて藍になる(130p)
藍染め工場という日本の伝統工芸の世界を描いた作品で、カラーの表紙の装丁やオビがとても凝っていて美しいです。兄弟という縛りの中、二人の想い合う気持ちが切ない物語です。兄と弟は違う道を選び、再び交錯したと思うとまた別れて…というお話で、内容も美しい。
「一ミリのズレもないよう型紙を作らなくてはならない、少しでもずれたら先に大きなズレになる」という藍染めの技の言葉を二人の関係にかけて、「兄弟であることから一ミリもずれないよう」に生きてきた。それなのに、一方はそれを変えたいと思い動き出す。すると状況が変わってしまい、二人の関係は変わらざるをえない。どうしたら二人はつながっていけるのだろう、自分たちは何でつながっているのだろうと悩みますが、その答は職人らしく、とてもまっとうで、気持ちが良いです。

あとがきにありましたら、作者のお母さんは染色家だそうで、ずっと身近で見ていたけれど、あらためて藍染工場に行ったそうです。美的センスはやはり血筋もあるのかもしれませんね。

大青
「たいせい」と読みます。「やがて藍になる」の主人公の名前。兄の方です。植物の名前で、染色に使う藍の仲間。彼が家に戻る前のお話を描き下ろしています。

泳ぐ、溺れる、泳ぐ
中学生の池谷優は学校の授業でプールに入ることが出来ない。夜中に忍び込んだプールで一人泳いでいると、警備員に見つかってしまうが、泳いでいた理由を問われた…。
中学生とプールのお話。「人と一緒にプールに入れない」という感覚はなんとなくわからないでもないです。
中学校のプールという一般的に言われる思春期の象徴的な場所設定を、少しちがった空気で満たしている作品だと感じました。

しんしんと雪の降る
夏の「水」の後は冬の「雪」。テーマに共通性があります。同じ誕生日の男二人が鍋をつついて共に祝います。無邪気な二人がかわいいお話です。