Golondrina – ゴロンドリーナ – 1

ゴロンドリーナ 1

小学館 2012.3.5 (IKKI COMIX) ISBN978-4-09-188575-3 試し読み

私は闘牛士になって、闘牛場で死ぬ――!
同性の恋人・マリアから裏切られて自ら死を選ぼうとしていた少女・チカ。
しかし、彼女を轢きかけた男・アントニオによって保護された。翌朝、チカがアントニオに保護した理由を尋ねると「男だったら、闘牛士にでもするつもりだった」と冗談とも本気ともつかない返答が。しかし、チカはその言葉を真に受けて「闘牛士になる。そしてマリアの目前で死ぬ」と宣言。己の言葉通り、数少ない女性闘牛士になるべく苦難の道を歩み始めたチカだが…? 

■初出誌:「月刊IKKI」
第1回 El Matador…2011年8月号 2011.6.25
第2回 Corrida de toros…2011年9月号 2011.7.25
第3回 La vaca…2011年10月号 2011.8.25
第4回 El asesino…2011年12月号 2011.9.25
第5回 Como aqua fluida…2012年1月号 2011.10.25
第6回 frente del toro…2012年2月号 2012.12.25

小学館『月刊IKKI』という青年誌に連載されている作品。青年誌への連載は初めてだし、巻数が複数にまたがるのも初めて。著者は闘牛の取材に何度もスペインを訪れているそうだ。取材で闘牛を見たのではなく、闘牛が見たくて行って、そして描きたくなったのではないだろうか。それだけ闘牛に対する情熱がそこかしこにあふれている。牛の描写、闘牛士たちの衣装、闘牛場の雰囲気、すべてから熱が感じられる。
舞台はアンダルシア地方の州都セビージャ近辺、フラメンコと闘牛のメッカで、外国人がスペインと言ったときに思い浮かぶ一つの雰囲気をもっている。南の人たちは何かと熱いらしい。アンダルシア・ダービー(ベティス×セビージャ)なんか見ていると本当にそう思う。アントニオはおそらくマドリーに住んでいる元妻に会いに行ったときにチカと出会い、連れて帰ったのだろう。

作中でも触れられているが、闘牛はスペインではもはや古くさい、田舎の出し物で観光客向けのショーのように思われ、テレビ中継もされず、若い人はわざわざ観に行ったりすることも減ったそうだ。バルセロナのあるカタルーニャ自治州では闘牛は2012年1月から禁止されている(そういう都会の先駆的なところが鼻について、アンチ・バルセロニスタなんだろうな…)。それは残酷さ故だろうが、そもそも人間は牛を殺して食べる。外国人としてはそれを見せ物にするのが悪いとは思わないのだが、自国の人が言うのなら仕方がない。鯨食うなと同じようなことか。

話はまだまだ緒についたところだ。チカがマリアを恨む気持ちやアントニオがチカを育てようと思った理由などはわかったが、セチュがなぜ都会での生活を捨てて友達に過ぎないチカをアントニオから守ろうとするのか、自分も逃げ出したかったのはあるのだろうけれど、ちょっとまだ理由があるような気もする。

夜の暗い場面と昼の牧場の明るい場面がベタだけでなく明らかに違うように見える。大雨の夜の出会いから始まるが、闘牛場やチカが携帯を投げた空は青いし、ランニングをする早朝は薄暗い。これが画力というものなのだろうか。スペインの空気が光と影を通じて伝わって来る。闘牛士を育てる方法なども、きちんと取材をした結果なんだろうなと思う。知らない世界を教えてくれるのはありがたい。それもスペインのことなら尚更だ。

残念なのは連載時よりカラーが少ないことだ。この作品の連載が終わる頃には画集が出て欲しい。素晴らしい絵だからもったいない。表紙を見て同じように思う人が多いのではないだろうか?

Golondrina – ゴロンドリーナ – 2
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